高齢化社会の現代で「口腔ケア」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
しかし、その言葉を知っていても実際にはどのようにケアしているのかはあまり知られていません…。
今回は「口腔ケア」についてご紹介します。
■口腔ケア
口内を清潔に保ち、口腔機能(話す・食べるなど)の維持や回復に繋げるケアです。
これ以外に、歯周病や虫歯など口内トラブルの予防や全身の健康維持にも繋がります。
■口腔ケアは必要?
食後の口内は細菌が繁殖しやすい環境になっています。
唾液は口内を清潔に保つための自浄作用を持っており、細菌の繁殖を防ぐ役割があります。しかし、高齢者の唾液量は加齢と共に減少し、自浄作用では清潔に保てなくなってしまうことも。
そこで、唾液による自浄作用が難しくなった高齢者には歯磨き・うがいなどがとても大切な役割を持つのですが、自分では歯磨き・うがいが難しいという方も中にはいらっしゃいます。
この場合、自分ではケアが難しくなった高齢者には介護者からの口腔ケアが必要です。
■2種類の口腔ケア
1- 器質的口腔ケア
歯磨き・うがいなどを通し、食べ物のかすや歯垢を取り除き、口内を清潔に保ちます。
このケアでは口内にいる細菌数を減らすことができ、細菌が原因で引き起こす歯周病や誤嚥性肺炎への予防にも繋がります。
2- 機能的口腔ケア
嚥下機能を鍛えるトレーニングや口内マッサージを行うことで食事や会話に必要な口の動きの維持や回復を目指すケアです。
■誤嚥性肺炎などの予防になる
誤嚥性肺炎は食べ物や細菌が含まれた唾液が誤嚥され、細菌が肺などに侵入し発症します。
誤嚥性肺炎を防ぐためには口腔ケアで口内細菌の数を減らすことが重要です。
■口腔ケアのメリット
- 虫歯、歯周病を防ぐ・・口内で繁殖している細菌を減らし、虫歯や歯周病などが原因でおきる病気を防ぐ
- 口内の自浄・・唾液の分泌を促し、口内を清潔に保つ
- 味覚改善・・舌の汚れを取り、唾液の分泌量増加
- 口臭改善・・食べ物のかすや歯垢を取り、口内の衛生環境の改善
- 認知症を予防・・口腔機能(話す・食べるなど)を向上させ、食べ物を咀嚼(そしゃく)することで脳を刺激し、認知症予防に繋げる
■ケアでの注意
1- ケアは本人の同意を得て行う
無理やり口腔ケアを行ってしまうと食べ物や唾液を器官に詰まらせてしまう可能性もあります。
口腔ケアの必要性を伝え、本人の同意を得ることが大切です。
2- 安全な姿勢で
うがいの水やケア中に分泌される唾液を誤嚥してしまわないよう、うつむき気味な姿勢がおすすめです。
また、ベットでケアを行う場合はベットの角度を30~45度に起こして行いましょう。
*あごを上げた状態のケアは誤嚥を引き起こしやすいため、要注意です。
3- 補助は必要最低限で
リハビリやモチベーションにも繋がるため、本人ができるケアは本人に任せましょう。
介護者は必要最低限のケアにとどめ、ケアが不足している箇所や最終確認が好ましいです。
4- 長時間はNG
長時間のケアは口内の乾燥を引き起こしやすくするため、本人にとって不快を感じることがあります。
ケアの時間は短時間で終え、負担を少しでも抑えるうようにしましょう。
■ケア方法
実際に口腔ケアを行う際の方法を説明します。
1- うがい
初めはうがいで口内の食べ物のかすや汚れを流します。
うがいの際は唇を閉じ、できるだけ頬を大きく膨らませてブクブクうがいをします。
*注意・・水を誤飲しないよう安全な姿勢で行いましょう。
2- 歯磨き
歯ブラシを使い、ケアを行います。その際、歯ブラシは鉛筆を持つようにするとスムーズに磨けます。
歯垢の貯まりやすい歯と歯茎の間は十分注意しながら磨き、唾液が溜まった場合は吐き出してもらうか拭き取ります。
*注意・・力を入れすぎやむせていないか、苦しくないかを確認しましょう。
3- 舌の掃除
舌ブラシを使用し、奥から手前に動かします。口内が乾燥している場合、口内を湿らせてから始めてください。
*注意・・力の入れすぎや奥まで入れすぎないようにしましょう。
4- 口腔清拭(せいしき)
口内の食べ物のかすや汚れをスポンジやブラシを使って取り除きます。
【対象者】
- 状況によって身体を起こすことのできない方
- 水を口にふくめられない方
- 歯ブラシで口内を傷つける可能性がある場合
5- うがい
最後もうがいをしましょう。
*注意・・ケアで落ちた汚れが口内に残らないよう確認が必要です。
■まとめ
健康は口内から始まります。口腔ケアは口内を清潔に保つこと、口腔機能(話す・食べるなど)向上など、これからの生活をより良いものにすることを目的として行われています。
しかし、高齢者には誤嚥の危険性があること。この危険性を知った上で安心できる口腔ケアを行ってください。
「福山・備後の老人ホーム・介護施設紹介センターりんどうの家🏠」では、専門の相談員がフォローしております。
介護や医療のように難しい専門分野において不安なことやお困りごとなどありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。