ご自身が終末期を迎えることになった時、あなたはどのような最期を過ごしたいですか?
できるだけ長くご家族と過ごしたいから延命措置などはご家族や医師に委ねますか?それとも、苦痛を緩和してもらい、安らかな最期を迎えたいですか?
終末期の迎え方は人それぞれだと思います。
近年では「尊厳死宣言公正証書」を作成し、心安らかに最期を迎える方が増えてきています。
そこで今回は「尊厳死宣言と記載方法」についてご紹介します。
■尊厳死とは
医療や看護の現場で回復を見込めない終末期の方に延命措置は行わず、苦痛を緩和するケアだけを行いながら自然な状態の死を迎えることを言います。(*平穏死や自然死といった呼ばれることも)
■尊厳死宣言
尊厳死を希望していることを記した公正証書を「尊厳死宣言公正証書」と言います。
ご本人の意思がしっかりしているうちに「回復を見込めないと診断された場合、延命措置は行わない」意思を公正証書として作成することでご本人の意思が認められ、医師も延命措置の決断を下しやすいうえ、自然な死を迎えることが可能となります。
実際、医療現場ではこの公正証書での意思表示がされていれば、約9割の確率で尊厳死を容認していると言われています。
■公正証書の作成方法
「尊厳死宣言公正証書」の作成には公証役場に足を運び、公証人に作成してもらうもので自筆遺言書のように自力で作成することはできません。
作成に際し、法律の専門家に必ず相談をしなければいけないということではありませんが、法的に有効性が認められる文書を希望するのであれば、専門家にアドバイスを受けたうえでの作成がおすすめです。
■公正証書の作成手順
以下、作成手順を説明します。
1- 原案作成
まず、公正役場に向かう前に原案を作成します。原案の段階ではメモ書きで結構です。
内容についてはご自身が「尊厳死宣言公正証書」に記載したいことをまとめておくといいでしょう。その際、内容について悩まれる場合は専門家に相談されることをおすすめします。
2- 公正役場で打ち合わせ
お近くの公正役場に事前予約し、公正役場で公証人と打ち合わせを行います。
もし、ご本人が病気等で公正役場へ行くことができない場合は公証人に出張してもらうことも可能です。(*この場合、出張費用がかかります)
弁護士や司法書士など専門家に依頼した場合、代行して公証人と打ち合わせをしてもらうことも可能です。
3- 文案作成
打ち合わせの内容をもとに公証人が文案の作成を行います。
完成した文案は公正役場又は郵便、FAXでも受けとることが可能です。但し、文案の内容に修正がある場合、再度打ち合わせを行う必要があります。
4- 最終確認
最終確認は公正役場で行います。確認のうえ、問題がなければ署名捺印をして完成です。
完成した正本・謄本はご本人が持ち、原本は公正役場で保管します。
■公正証書作成で必要なもの
「尊厳死宣言公正証書」の作成には以下のいずれかが必要となります。
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)と実印
- 運転免許証と認め印
- パスポートと認め印
- マイナンバーカードと認め印
- その他、公的機関発行の写真付き身分証明書と認め印
これらは完成日には必ず用意するようにしましょう。
■公正証書作成の費用
尊厳死宣言公正証書を作成するにあたり、以下の費用がかかります。
- 基本手数料‥11,000円
- 正本・謄本‥1,000~2,000円程度
[出張してもらう場合]
ご本人が公正役場に行くことができない場合、出張してもらうには以下の費用がかかります。
- 基本手数料・・11,000円×1.5
- 日当・・1日20,000円/半日10,000円
- 交通費(出張する場所によって異なる)
[その他]
専門家のサポートを受けた場合、別途で費用が発生します。この費用についてはサポートを依頼する事務所によって異なります。
■まとめ
尊厳死を希望する意思をご家族に伝えるタイミングは先延ばしせず、その旨をご自身の口から早めに伝えることが大切です。本人だけの意思だけで決めることはせず、ご家族としっかりと話し合いを行ってください。
「尊厳死宣言公正証書」の作成には少し手間や時間がかかりますが、ご自身の終活を真剣に考える人は遺言書と共に作成されてもいいのかもしれません。
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